いつも紹介するのは今から何十年も前に発行された古い本が多いですが、今回は最近出された本です。
森卓さんと言えば、テレビでもおなじみの経済評論家ですが、2023年12月にすい臓がんステージ4の宣告を受けて、命のあるうちにこの本を完成させて世に問いたい、と闘病生活をしながら書いた本だそうです。
大きな話題となり、読んだ方も多いと思いますが、まだ読んでいない人に紹介します。
世の中には関係者はよく知っているけれど、口に出してはいけないタブーが存在します。その多くは、体制派という国や業界を支配している人たちにとって都合の悪い話であり、口にした途端、テレビやマスコミから干されて出演できなくなるそうです。森卓さんも、知ってはいるけれど口に出せなかったが、どうせ死ぬなら遺書代わりに書いて世の中の皆さんに知ってもらいたいという思いだったそうです。
内容的には大きく分けて3つ、①ジャニー喜多川氏の性加害問題、②財務省のカルト的財政緊縮主義、③日本航空123便の墜落事件。①は長年の闇が日の下にさらされる結果となりましたが、長年業界では周知のことだけれども、大手マスコミは見て見ぬふりをして、私たちのような一般ピープルは全く知らされていませんでした。
このことからしても、テレビやスマホから流されてくる情報ばかりを鵜呑みにしていては危険なことがわかります。本の内容もさることながら、マスコミとの向き合い方、情報の入手の仕方について考えさせられる本です。
死を覚悟した人の言っていることには、迫力があります。最近読んだ本の中では、一番印象に残った本です。まだ読まれていない方は、ぜひ手に取ってみて下さい。
●メディアでは決して触れてはいけない3つのタブーが存在する。
①ジャニーズの性加害
②財務省のカルト的財政緊縮主義
③日本航空123便の墜落事件
関係者の多くが知っているにもかかわらず、本当のことを言ったら瞬時にメディアに出られなくなる。それだけでなく、世間から非難の猛攻撃を受け、下手をすると逮捕され、裁判でも負ける。だから、賢い人はこれらの話題には最初から触れない、知らぬ存ぜぬを貫くことだけがメディアに出続けるために必要なことだからだ。
●「ザイム真理教」財務省のカルト的財政均衡主義が日本にとてつもない惨禍をもたらしている。大手出版社からすべて断られた末に、三五シンシャという個人経営の出版社から2023年5月に出版できた。部数10万部を超えるベストセラーとなった。後は余生をひっそりと送るつもりだったが、2023年3月イギリスBBCによる「J-POPの捕食者」というドキュメンタリー番組をきっかけに、日本のメディアが動いた。世の中は変えられる。
●3つのタブーの共通構造
①絶対的権力者が、人権や人命や財産に関して深刻な侵害を行う。
②その事実をメディアが報道せず、被害が拡大、長期化していく。
③そうした事態について、警察も検察も見て見ぬふりをする。
④残酷な事態が社会に構造的に組みこまれていく。
●ザイム真理教
「日本は世界最大の借金を抱え、財政負担が国民生活の破綻をもたらす」という恐怖心を植え付けることで、増税や社会保険の負担増を促す、という真っ赤なウソ。
2020年度末で国は1661兆円の負債を抱えている。しかし国は同時に資産も1221兆円持っている。政府がこんなに資産を持っている国は日本以外にない。国の財政をとらえるには、資産と負債、両方見る必要があり、両者の差額である540兆円が本当の日本政府の抱える借金となる。2020年度の名目GDPが527兆円なので、GDPと同程度の借金となり先進国ではごくふつうの水準である。
さらに、日本政府には「通貨発行益」があり、日銀に国債を借り換え続けてもらえば元本を返す必要はないし、政府が払う利子や日銀の経費を除いて、ほぼ全額が国庫納付金として戻ってくるので、政府が日銀に国債を買わせた瞬間に利益を得たのと同じになる。これを考慮すると、日本は借金ほぼゼロの状況になっている。
財務省が増税や負担増だけを目指す理由には、財務省での人事評価が大きくかかわっている。増税を「勝ち」、減税を「負け」といい、増税を実現した財務官量は高く評価され出世する。一方、財政出動した結果、経済が成長して税収が増えたとしても、財務官僚には何のポイントにもならない。反対するものには徹底した税務調査が行われ、会社を倒産させたり個人を破産させる権力を振りかざす。
●日航123便墜落の新事実、著者;青山透子、2017年7月発行
事故当時、日航の客室乗務員として働いていて、事故機には彼女の同僚も乗り込んでいた。事故の真相を探ろうと、文献、目撃者証言集め・・・人生をかけて調査に取り組んできた。
国産巡行ミサイルの洋上飛行実験中に突発的事故が起きて、日航123便の垂直尾翼付近に異変を発生させた。即座に米軍ファントム2機が追尾してその状況を確認した。自衛隊はそのミスを隠すために一晩中墜落場所不明としていた。
●日本経済墜落の真相
1985年8月の日航123便墜落事故を境に、日本経済の潮目が変わった。
1985年9月22日、プラザ合意、日本経済に致命的な決定、日本経済の集団リンチ事件。急激な円安240円→120円、2年で2倍の円高、経済全体を見ると円高は必ず経済にマイナスの影響を与える、輸出不振、四輪車の輸出1985年673万台→2022年381万台。
1986年9月2日、日米半導体協定の締結、日本の半導体シェア50%超え。
海外の半導体メーカーへの市場開放、ダンピング防止(アメリカが価格を決める)、の他に、秘密書簡、日本市場での海外製品のシェアを5年以内に20%以上にするという合意。
日本の半導体産業凋落には様々な要因がかかわっている、台湾は十分な環境対策をせず低コストの半導体を製造して伸長した、日本の半導体メーカーの戦略ミス・・・日本政府が絶対的に不利な条件を受け入れた理由は何か、日航墜落事故が影響しているのではないか。
●プラザ合意による超円高、深刻な景気後退、政府は大きな財政出動と大胆な金融緩和を実施。
世間では財政出動と日銀の金融緩和がバブルをもたらしたと言われているが、財政出動の規模も大したことはないし、公定歩合も2.5%まで下げただけ。
バブルをもたらした最大の原因は日銀の「窓口指導」だった。日銀から与えられた貸出枠は必ず消化しなければならない、そうしないと翌年の貸出枠を減らされてしまう。世の中は円高不況の嵐が吹き荒れていて、新たな資金需要はほとんどない。本来、銀行は不動産や株式の投機にカネを貸すことは許されていないが、貸し出しの稟議を書くときにうまくごまかせばいい、結果的に銀行は投機に手を貸す形で、融資を拡大させていった、このことがバブル発生の最大の要因になった。
日銀の「総量規制」導入は1990年3月27日、バブル崩壊後3か月もたってからである。
●新NISAだ、貯蓄から投資だ、と言って国民を煽り、元本保証の郵便貯金を元本保証のない投資信託に誘導する。今の株式相場は史上最大規模のバブルとなっているから、早晩弾けるだろう。利益を享受したハゲタカたちは高値で売り抜ける、その時バブル崩壊後のババをひくことになるのは国民がコツコツとためてきた郵便貯金なのだ。
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