ISO22000の基礎知識⑤4章;組織の状況

初めの図は、ISO22000の規格要求事項を図式化したものです。2つ目の図は、4章の要求事項をまとめたものです。これからの説明は、基本この2枚の図をセットで示したうえで、わかりやすい解説を加えるというスタイルで行いたいと思います。要求事項は長文で書かれていますので、ポイントとなる部分に絞って解説します。また、原文は英語で書かれていて、要求事項は「Shall」で示されています。しなければならない、ということでやっていないと審査では「不適合」の対象になります。

まず、食品安全マネジメントシステムを構築しようとする組織について、状況を整理することが求められています。
4.1 組織を運営していく上で、食品安全に関わる社内外の課題を明確化して下さい。社外であれば、原料によっては調達そのものが困難になってきているものもあるでしょうし、産地や製法が確かなものを仕入れる必要もあるでしょう。社内であれば、社員の高齢化や有能な社員の突然の退職など、人にまつわる課題も多いと思います。とにかく、ブレーンストーミング形式で考えられる課題を抽出し、あとでまとめる形でいいと思います。ここで大事なのは、教科書に書いてあるような一般的な内容ではなく、自社特有の独自性があるものにするということです。この部分が薄いと、後々の検討も薄っぺらいものになってしまいます。そして、作って終わりではありません。「監視・レビュー」とは定期的にその内容を見直し、更新してゆくことを求められています。

4.2どんな 利害関係者がいるか、彼らはどんなニーズや期待を持っているか、を明確化して下さい。最終ユーザー、販売先、原材料の購入先、銀行、株主などの他に、最近では従業員の存在が大きくなってきています。昨今のニュースを見聞きしていると、あたかも転職しない者は能力がないような風潮を作られているように感じます。油断していると、有能な社員ほど他の会社に移ってしまいます。今働いている従業員の満足度を高め、より長く働いてもらうようにする必要があります。ここでも一般的な内容ではなく、自社なりの具体的な内容にこだわってください。また、この項目も「監視・レビュー」が求められています。

4.3 適用範囲の決定というのは、FAMS(食品安全マネジメントシステム)の対象となる製品及びサービス、プロセス及び生産工場を決定するということです。同じ工場の製品であっても、適用範囲から外すという選択肢はありますが、そのことによって適用範囲内の製品に影響してはいけません。また、上記4.1や4.2についても考慮した上での決定が求められています。通常はその工場で製造する製品すべてを適用範囲とするケースがほとんどですが、もし「適用外」とする場合には、その根拠を明確化しておく必要があります。
昔は一部の製品だけ登録しておいて、あたかもその工場全体で認証登録しているように見せかける不心得者もいましたが、今ではそのようなことは通用しません。

4.4はFSMSを確立し、実施し、維持し、継続的に改善してください、という全体的な要求事項です。




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