ISO22000の基礎知識⑥5章;リーダーシップ

5章は、マネジメントシステムの中心であるリーダーシップについて書かれています。ここは、マネジメントシステムの中核をなす部分ですので、原文を引用しながら解説します。トップマネジメントである社長や工場長は、次のような役割を果たす必要があります。経営者の方は規格要求事項をこと細かく知っておく必要はありませんが、基本となるこの部分だけはしっかりと認識しておいていただきたいと思います。

●リーダーシップ及びコミットメント
a)FSMSの食品安全方針及び目標を確立し、それらが組織の戦略的な方向性と両立することを確実にする;
b)組織の事業プロセスへのFSMS要求事項の統合を確実にする;
➡「安全で安心できる食品を提供する」を目的としたマネジメントシステムとしてください、ということですね。
 間違っても、本業と切り離した、認証登録を主目的とした活動にはしないでください。

c)FSMSに必要な資源が利用可能であることを確実にする;
➡目標を達成するために必要な経営資源を提供してください。要員、設備、インフラストラクチャー…。
 いくら高い目標を掲げても、資源が不足すれば達成できないのは当たり前ですね。目標を達成できない組織の一つとして、この点を曖昧にして、後は社員の頑張りで何とかするという精神論に陥る事例が多いように感じます。

d)有効なFSMSのマネジメントの重要性を伝達し、かつ、FSMS要求事項、適用される法令・規制要求事項、並びに食品安全に関する相互に合意した顧客要求事項に適合する;
e)FSMSが、その意図した結果(4.1参照)を達成するように評価及び維持されることを確実にする;
f)FSMSの有効性に寄与するよう人々を指揮し、支援する;
➡リーダーシップを発揮して、社員の方にマネジメントの重要性、法令遵守の精神を徹底するとともに、社員の方が仕事をしやすいよう支援してください。

g)継続的改善を推進する;
➡日本企業躍進の立役者である「カイゼン」は、今や海外でも常識となっています。

h)その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう、管理層の役割を支援する;
➡ご自身の分身である管理層が働きやすいよう、積極的に責任と権限を委譲してください。
 ただし、すべてを部下に丸投げして「後はよろしく頼むよ」では困ります。結果責任は経営者にあります。

●食品安全方針の確立
次に取組みを進めるにあたっての方針を決めてください。
以下の要件を満たす必要がありますが、どこでも通用しそうな一般的なものにしない、という視点が重要です。
審査でもありきたりな定型文のような方針を見かけますが、果たしてその方針が社員の心に届いているのかなと感じています。審査では要件を満たしていれば、それ以上のことは言いませんが、自社に相応しいオリジナリティの高い方針とした方が、社員の方も腹落ちして取り組みやすいと思います。

a)組織の目的及び状況に対して適切である;
b)FSMSの目標の設定及びレビューのための枠組みを与える;
c)食品安全に運用される法令・規制要求事項及び相互に合意した顧客要求事項を含む該当する食品安全要求事項を満たすことへのコミットメントを含む;
d)内部及び外部コミュニケーションに取組む;
e)FSMSの継続的改善へのコミットメントを含む;
f)食品安全に関する力量を確保する必要性に取組む;

●組織の役割、責任、権限
経営者の方が、実務を全て指揮するわけにはいきません。食品安全に関する取組みは、食品安全チームを作って任せるのがいいでしょう。その中でも最も信頼のおける方をチームリーダーとして任命します。リームリーダーの方とのコミュニケーションを通して、全体を把握されるといいと思います。

5章は以上です。




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