ISO22000の基礎知識⑪8章;運用②

ハザードとは食品安全ハザードのことで、「食品への悪影響をもたらす可能性のある、食品中の生物的、化学的もしくは物理的物質」と定義されています。具体的には、食中毒菌や腐敗菌などの細菌、カビ、化学薬剤、アレルゲン物質、金属、硬質異物などを指します。

ハザード分析とは、食品の製造や流通の過程で発生する食品安全ハザードを特定し、評価するプロセスのことですが、詳しくは次回以降に解説します。今回は、効果的なハザード分析を行うための準備のお話です。「準備が仕事の9割」というのは極端ですが、準備の内容次第で後の結果も変わってきますので、手を抜かずていねいに対処してください
まず、食品安全チームによる情報収集です。食品安全のためにはさまざまな知識が必要とされますが、全てのことを一人で対応することは不可能です。そこでISO22000では、製造部門、購買部門、開発部門、品質管理部門、物流部門など、さまざまな部門から選出されたメンバーによる食品安全チームを作ることが求められています。チームのリーダーやメンバーを指名するのは、5章;リーダーシップで解説した経営者の役割の一つです。選ばれたメンバーの所属、経歴、知識、力量、資格などを一覧にした「食品安全チーム一覧表」を作成しておくといいでしょう。

情報収集の1つ目は、原料、材料及び製品に接触する材料に対してどのような法律が適用されるか、食品安全上危険なものが使われていないか、確認を行います。製品接触材料とは、例えば製造工程で使われるベルトコンベアなど直接触れるものを指します。それぞれに対して、以下のような情報を収集してください。なお、ハザード分析をするための「必要な範囲で」構いませんが、文書化した情報として保持しておいてください。
a)生物的、化学的及び物理的特性
b)添加物及び加工助剤を含む、配合された材料の組成
c)由来(例えば、動物、鉱物又は野菜)
d)原産地(出所)
e)生産方法
f)包装及び配送の方法
g)保管条件及びシェルフライフ(使用期限)
h)使用又は加工前の準備及び/又は取扱い
i)意図した用途に適した、購入した資材及び材料の食品安全に関連する合否判定基準又は仕様

2つ目は、組織で提供している最終製品に対してどのような法律が適用されるか、食品安全上問題のない製品であることを確認するために、以下のような情報を集めてください。上と同じように、ハザード分析をするための「必要な範囲で」構いませんが、文書化した情報として保持しておいてください。
a)製品名又は同等の識別
b)組成
c)食品安全に関連する生物的、化学的及び物理的特性
d)意図したシェルライフ(賞味期限、消費期限)及び保管条件
e)包装
f)食品安全に関する表示及び/又は取扱い、調整及び意図した用途に対する説明
g)物流及び配送の方法

意図した用途」とは、提供している食品がどのような方法で使われる(食される)かというものです。そのまま食べられるのか、加熱する必要があるのか、他の食品と一緒に使われるのか・・・用途を想定します。また、特定のユーザー向けの食品、例えば赤ちゃん向けの離乳食、老人用の介護食等の場合は、対象となるユーザーを明確にしておく必要があります。

今回は以上になります。
事前情報が揃いましたので、次回は製造工程を明確するために「フローダイアグラム」を作成します。





よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次