まずは、自分たちの組織が置かれている状況を確認しましょう。
ISO9001では「提供する製品・サービスの品質にかかわる」社内外の課題の明確化が求められていますが、QMS経営ではクオリティの高い組織の実現を目指しています。
したがって、製品・サービスの品質に限定せず、広く経営にかかわる課題を取り上げましょう。
また、課題の抽出だけでなく、更に進めてSWOT分析をするといいでしょう。
SWOT分析は、経営戦略を立案するために用いられる現状分析手法です。自社の内部環境と外部環境を強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)として洗い出し分析します。
ここでは内部環境は自社内を、外部環境は市場や競合他社など自社に影響を及ぼす外部要因を指します。
SWOT分析では、以下の要素を考慮します。
- 強み(Strength): 自社や自社製品・サービスに好影響を与える内部環境の要素。
- 弱み(Weakness): 自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす内部環境の要素。
- 機会(Opportunity): 自社や自社製品・サービスに好影響を与える外部環境の要素。
- 脅威(Threat): 自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす外部環境の要素。
SWOT分析の手順は以下の通りです。
- 内部環境の分析: 自社内の要素を強みと弱みの視点から洗い出します。
- 外部環境の分析: 市場や競合他社など、自社に影響を及ぼす外部要因を機会と脅威の視点から洗い出します。
- クロスSWOT分析の実施: 内部環境と外部環境を掛け合わせて、戦略的な判断を行います。
QMS経営の目指す「クオリティの高い組織」の条件として、①オリジナリティの高い製品・サービスを有していること、②価格競争を避け、適正な利益を確保していることを掲げています。
SWOT分析の結果、自社の強みはどこにあるのか、強みを生かしてどのような製品・サービスが提供できるのかを明確化したうえで、限られた経営資源を優位性が発揮できる部分に重点的に配分することが重要です。
経営のセオリーの一つに、「戦略とはやらないことを決めること」があります。
規模が小さな組織ほど経営資源には限りがありますから、どの領域で、何で戦うのかを明確化する必要があります。
キーポイントは、他社と比べて多少価格が高くても顧客に支持される製品やサービスがどれだけあるか、です。
次に、利害関係者のニーズや期待を明確化しましょう。
利害関係者というと、顧客、得意先、取引先、銀行などをイメージしがちですが、従業員も重要な利害関係者です。
近年の人出不足の深刻化により、利害関係者としての重要性はますます高まっていると言えるでしょう。
今働いている従業員を辞めさせず、いかに長くはたらいてもらうか、そのためにはニーズや期待を具体的に把握して対策を打つ必要があります。
キーポイントは、いかに従業員のホンネを引き出すか、です。
最近では「従業員満足度調査」などのアンケートを実施している組織も多くなっているようですが、ホンネを聞き出すことができていますでしょうか。
そして、これらのことは一度検討して終わりではありません。
環境の変化に対応すべく、定期的に見直して、内容が古臭くならないようにする必要があります。
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