QMS経営ベーシック⑤リスクと機会への取り組み_将来を考えて仕事しましょう

5つ目の事例は、リスクと機会への取り組みについてです。
日々の仕事に追われていると、先のことが見えなくなってしまいます。
ISO9001では、経営にマイナスの影響を与える「リスク」と、成長の可能性のある「機会」について、考えて対応することが求められています。リスクに対しては、事が起こってから慌てるのではなく、事が起こらないように対処しておくという予防措置の意味合いがあります。これは人が病気になって治療にお金を使うのではなく、病気にならないよう普段から生活習慣に気をつけるという予防医学の考え方と同じですね。
一方、そのような防御だけではなく、経営には成長してゆくための「攻めの姿勢」も必要です。新しい顧客や販路の開拓、成長分野への進出、新たなパートナーシップの構築など、成長の機会を見つけて注力しましょうということです。
以上のことは、今更言われなくても当たり前だと思われるかもしれません。ただし、どこまで真剣に検討し、実際の行動として取り組まれているでしょうか。ISO9001では、リスクと機会を明確化した上で、具体的な取り組みを計画し実行することが求められています。PLAN→DO→CHECK→ACTIONというPDCAサイクルを回すことで、より実効性の高い対策をとることができます。

リスクと機会を明確化する方法ですが、もう少し視野を広げてSWOT分析をするといいでしょう。
SWOT分析は古くから用いられているため「時代遅れ」といわれることもありますが、視点を偏らせずに現状を客観的に把握でき、現在も活用されている基本的な手法です。
ここでのポイントは、自分たちの組織独自のものを具体的に見出せるかどうか、です。通り一辺倒の分析では、当たり障りのないどこの会社でも通用するような陳腐な分析に終わりがちです。もしくは、類似の製品・サービスを提供している同業者、競合メーカーと似たような結果かもしれません。それでは、その先の話につながりません。
QMS経営研究所が目指す「クオリティの高い会社」では、他社とは異なる製品・サービスを追求し、適正な利益を上げて社員や社会に還元することを目標としています。ひょっとしたら、現状では独自の製品・サービスはあまり見いだせないかもしれません。それでも分析を通して明確化されたS、W、O、Tの組み合わせの中から注力すべき分野を見出し、取り組んでいただければと思います。

以下はSWOT分析の簡単な解説です、ネットで検索すると詳しい資料が得られますのでそちらを参考にしてください。
あまり精緻なものを作る必要はありませんが、他社にはない独自性を重視していただくといいと思います。

SWOT(スウォット)分析とは、経営戦略を立案するために、内部環境と外部環境のプラス面・マイナス面を洗い出す現状分析手法です。「SWOT」とは、内部環境と外部環境における各要素を表しています。ここでいう内部環境とは自社内を、外部環境とは市場や競合他社など、自社に影響を及ぼす外部要因を指します。
【内部環境】
S:強み(Strength)
自社や自社製品・サービスに好影響を与える内部環境の要素
W:弱み(Weakness)
自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす内部環境の要素
【外部環境】
O:機会(Opportunity)
自社や自社製品・サービスに好影響を与える外部環境の要素
T:脅威(Threat)
自社や自社製品・サービスに悪影響を及ぼす外部環境の要素

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