10冊目に紹介する本は、「腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境」です。
人生のクオリティ向上の一要素である「体の健康」のためには、食生活に気をつける必要があります。
それに関する情報は世の中に氾濫しており、たくさんの本がありますが、ここではこの本を紹介したいと思います、
桐村里紗さんという医師が書かれた本ですが、「プラネタリーヘルス:人と地球は別々な存在ではなく、相互依存関係にある」という考え方を基盤に、多様な生物が生かし合う生態系を維持し、人を含めた地球全体の健康を実現するというものです。
「腸活」ブームで、腸内細菌の有用性が盛んに言われていますが、根本的な理由の理解に役立つ本だと思います。
最近の私のキーワードは、「食を通して自然と会話する」です。食事をするときに、この食品はどこで生まれて、どのような育ち方(加工方法)をしてきたのか、想像しながら食べると、由来のはっきりしないものや不要な添加物をたくさん使った食品は、おのずと避けるようになります。
ぜひ一読されることをおススメしますが、私が印象に残った部分を少しだけ紹介します。
●人にとって最も身近な自然環境は「腸内環境」であり、そこは人が根を下ろす「土」にあたる。土壌に暮らす微生物が、食べ物と共に腸内に移住したものが腸内細菌の起源であり、人は今でも「食べる」ことを通して、外的な環境と接続している。日々の食べ物が腸内の土作りの材料になり、消化や腸内細菌による発酵を通じて栄養豊かな土となる。それはまるで、森の落ち葉や動物の死骸から腐植土が作られるシステムと同じである
●口から入った食べ物は、言うなれば動植物の死骸である。そのままでは人間が吸収できる栄養にならない。これを分解し、発酵させ、吸収しやすい栄養を取り出す必要がある。
●森と同じことが人の消化管でも行われている。口から腸までの消化管と常在細菌は、共同作業によって食物を分解・発酵し、腸内に栄養豊かな土を作る。長は、その土に根を下ろし、栄養を吸収し、血管を通じて細胞を養う。つまり血管が葉脈、人間の細胞が葉にあたる。細胞を健康にしようと思うならば、腸の土壌改良が不可欠である。ヘルスケアにおいては、まず土壌改良が先!である。
●人の構造はシンプルに見ると、ナマコやミミズと同じ、土管状である。
口→食堂→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門。消化管の内腔は体内ではなく、対外である。生命とはインプット(摂食)→プロセス(消化・代謝)→アウトプット(排泄)の絶え間ない循環である。
●「超」健康な人の腸内細菌に共通している腸内環境は、特定の菌叢が多いのではなく「多様性が高い」ことである。特定の善玉菌の種類が多いことではない。人の社会も微生物の社会も、調和的な共生関係が築かれたダイバーシティが大切という原理原則。
●腸を整え、内臓感覚を研ぎ澄ますことは、健康だけでなく、直観や心、そして確かな自己の中心性を養うことにつながる。病気は人生にとってネガティブな出来事だが、それを自己の学びに変えて克服するとき、ポジティブに転換することができる。
●プラネタリーヘルスダイエット
1日2500Kcal程度のエネルギーは維持しながらも、人と地球の健康を害する赤身の肉や動物性食品、精製された穀物、砂糖などの添加糖分を減らし、その代わりに植物由来(プラントベース)の全粒穀物、豆類、果実、野菜を大量に摂取すること。
ま;豆類
ご;ゴマなどの種子類、ナッツ類
は;ワカメなどの海藻類
や;野菜
さ;魚
し;シイタケなどのキノコ類
い;イモ類
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