QMS経営ベーシック⑩PDCAの実践❹ACTION_対策・改善を行いましょう

最後はACTION(対策・改善)について解説します。
CHECKの結果、計画通りに進んでいない場合には対策を打ち、改善する必要があります。
言われてみれば当たり前のことですが、挑戦的な目標を掲げるほど、そうそう簡単には達成できません。
PDCAはここからが本番、と言っても過言ではありません。

【3】ACTION(対策・改善)

❶目標達成が至上で、他の仕事が後回しになっていないか
目標達成のための直接的な計画の実行はもちろん大事ですが、それに付随した間接的な仕事もあると思います。ついついそのような仕事は、後回しになりがちです。例えば、売上げ●億円、利益●億円という目標に対して、既存の取引先に既存の製品やサービスを売り込むことばかり優先し、新しい顧客の開拓や新製品の案内という手間のかかる仕事をさぼっていませんか、というお話です。計画段階では、毎月●社新規開拓を行う、そのために●社訪問する、などという計画もあったはずですが、後回しになっていないでしょうか。また、社員のレベルアップのための教育計画もあったはずですが、計画通り実施できているでしょうか。

❷目標未達成の原因を明確にして手を打っているか
目標を達成できない組織の場合、そもそもなぜ未達成だったのか、原因がよくわかっていないケースが多いようです。また、原因として掲げている項目にしても、表面的な分析に留まっている場合があります。原因の原因、その原因の原因…と追求してゆくことで本当の原因(真因)を把握できると言われています。そのための手法として、「トヨタ自動車ではなぜを5回繰り返す」というのが有名です。ご興味のある方は、検索してみてください。

❸今期の失敗を次期の計画に生かしているか
原因が把握できたら、そのための対策を考え、次期の計画に生かしましょう。そうすることで、同じ目標であっても達成する確率は格段に高まっているはずです。PDCAのお話の最初の回に、スパイラルアップについて解説しましたが、時間の経過とともにだんだんレベルアップしていかないと、組織の成長はありません。低いレベルでぐるぐる回っているのではなく、次第に高い目標を掲げ、理想の組織実現を目指してください。

❹安全や環境面への配慮が疎かになっていないか
持続可能な成長のためには、法律を守ることも重要です。企業経営にはさまざまな法律が関係していますが、何か事が起こってから、「知らなかった」では済まされません。大きな組織ではそれぞれの分野で専門家を置いて対策することが可能でしょうが、規模の小さな組織ではそうもいかないと思います。最低限必要な知識で結構ですので、チェックをするようにしましょう。

❺応急措置で止まっていないか
何か問題が発生した場合に、再発防止策を考え実施していると思いますが、よくあるのが「応急措置」で終わっているケースです。ISOでは、不適合に対する再発防止策として、応急措置➡原因分析➡是正措置(恒久措置)➡有効性確認まで行うことが求められています。例えば、新人のAさんがミスをしたとします。Aさんを厳しく叱って、他に人にも気をつけるように注意する、というのは単なる応急措置です。Aさんがミスをした原因は何か、十分教育していたけれど不注意で起こしたのか、そもそも教育ができていなかったのか、…いろいろ原因はあると思います。そのうえで、恒久措置、将来にわたって再発させないような対策が必要です。手順書を作成する、内容を修正するなど、人が変わってもミスしないような対策を考えてください。そうしないと、次の新人のBさんがまた同じミスを繰り返すかもしれません。

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