第四の習慣では「Win-Winの関係」作りのコツを紹介しましたが、その前提条件である人間関係やコミュニケーションをうまく進めるための重要な原則が、第五の習慣です。
文字通り、「まず相手を理解するように努め、その後で、自分を理解してもらうようにしなさい」ということです。
そんなことは当たり前だと言われるかもしれませんが、表面上のテクニックだけになっていることはないでしょうか。
相手が話している時に、私たちは次の4つのいずれかのレベルで聞いているとされています。
まず無視する、あるいは実際に聞いていない。
次は、聞くふりをする。例えば、「うんうん」を相槌をうつ。
そして、「選択的に聞く」これは会話の部分部分しか耳に入れようとしない。
それから、注意して聞く。このレベルになると、注意深く集中して相手の言葉を聞くようになる。
どうでしょう、相手によって、タイミングによって、話の内容によって、違いはあるかもしれませんが、いずれかに当てはまるのではないでしょうか。
この上の最も高い傾聴のレベル、感情移入をして相手の話を聞くことができる人は少ないのではないかと思います。
本当の感情移入とは、心の底から理解するつもりで聞くことであり、まず相手を理解することに努めることの重要性を博士は力説しています。
感情移入とは、相手の立場に立ち、相手の立場から物事を眺め、相手が見ている世界を見ることであり、相手のパラダイムを理解し、相手の気持ちを感じることなのです。
「7つの習慣」では、そのための具体的な方法も紹介されています。
第一段階は、話の中身を繰り返すことです。「会社なんてもう嫌だ」「会社が嫌なんだね」相手の口から出る言葉を聞いてそれを繰り返すだけで、評価、助言、解釈などは一切していません。相手から見れば、注意して聞いてもらっているという気持ちになるでしょうが、理解するためにはもっと注意深く聞く必要があります。
第二段階は、話の中身を自分の言葉に置き換えることです。「会社なんてもう嫌だ」「そうか、会社に行きたくないんだ」第一段階よりは多少効果が高まるとされていますが、まだ言葉を使ったコミュニケーションに限定されています。
第三段階は、相手の感情を反映することです。「会社なんてもい嫌だ」「なんかイライラしているようだね」ここでは相手が何を言っているかというよりも、それについてどう感じているかに注意している。
第四段階では第二と第三の段階の両方を合わせて使うことになります。つまり、内容を自分の言葉でいい、同時に感情を反映するということです。「会社なんてもう嫌だ」「会社に行きたくないなんて、なんだかイライラしているようだね」第四段階に至ると、これまで経験したことのないようなコミュニケーションが生まれる、と博士は言っています。
誠意をもって、相手を理解しようとし、話の中身を自分の言葉に置き換え、感情を反映するとき、相手に大きな精神的な空気を与えることができる、とされています。
人は自分のパラダイムで生活し、それを「事実」だと思い込み、その「事実」がわからない人の人格や精神状態を疑問視してしまいがちです。相手のパラダイム、立場や気持ちを理解して初めて、「Win-Winの関係」を築く第一歩となるのです。
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