相乗効果という言葉はよく聞かれると思います。1プラス1が2ではなく、3あるいはそれ以上の結果になるというものですね。本の中では、男女の結びつきが子供を世にもたらすことも相乗効果の典型的な一例と紹介されています。
相乗効果の本質は、相違点に価値をおき、それを尊重し、強みを伸ばし、弱さを補完することであると、博士は説かれています。相乗効果を発揮するためには、相手との信頼関係がカギとなります。少し長くなりますが、コミュニケーションのレベルについて引用してみます。
最もレベルの低い「防衛的なコミュニケーション」は信頼のない状態で生まれるものである。それぞれが自分の立場を守ることに重点をおいて、場合によっては契約書のような言葉で表現され、問題が起きたときの対応策をすべて明確にして逃げ道を確保しようとするものである。こうした関係はWin-LoseやLose-Winの結果しか生み出さず、効果的ではない。
次は「尊敬的なコミュニケーション」である。これはあれ程度成熟した人が普段接するレベルである。お互いに対する尊敬はあるが、難しい衝突を避けたいがために、丁寧に話し合うものの、感情移入には至らない。知的レベルでは相互理解が生まれるかもしれないが、お互いの立場を裏付けるパラダイムを深く見つめることはなく、そのために新しい可能性を求める余裕はない。一見、正直で誠心誠意にあふれ、敬意を示したものではあるが、創造的で相乗効果的なものとは言えない。せいぜい低次元のWin-Winをもたらす程度である。
「相乗効果的なコミュニケーション」を行なえば、1プラス1は8、16、1600にもなる。高く信頼関係に基づいて相乗効果が発揮されれば、それは各当事者の最初の提案よりも優れた案を生み出し、すべての当事者がその案に対して決意することができる。そのうえ、創造的な活動に参加することを心から楽しむことになる。そのプロセスから、少なくとも一つの組織文化が形成される。
相乗効果的なコミュニケーションの結果、各当事者が最初に考えていた提案よりも優れた案のことを「第三の案」と呼びます。第三の案は決して妥協の産物ではなく、当初は考えてもみなかったような案に、お互いが満足し実行していくことができるものになります。第三の案を導き出すためには、どうすればいいのでしょうか。そのためには、これまで学んできた「Win-Winの考え方」や「理解してから理解されるコミュニケーション」が役立ちます。感情移入しながら相手の話を聞き、まず理解しようとすることで、結論を出すにあたって検討しなければならない価値観の相違や相手の不安などを総合的に把握することができます。
本の中では、いくつかの場面を想定して、実際に考えてみることが勧められています。
皆さんもぜひ自分事として考えてみてはいかがでしょうか。
①自分と違った意見を頻繁に述べる人を考える。その相違点を、第三の案を打ち出すための踏み台にする方法を関上げる。今あなたが直面している問題、またはプロジェクトについて、その人に意見を求める。そしてその意見に価値をおき、それを真剣に受け止める。
②気に障る人をリストアップしてみる。あなたが、より高いレベルの内的安定性を持ち、その相違点を尊ぶことによって、彼らの持つ観点が、相乗効果を生み出す原動力になることはないかを考える。
③高いチームワークと相乗効果がほしい状況を考えてみる。必要な相乗効果を支えるためには、どういう条件を整える必要があるだろうか。そのために、あなたは何ができるだろうか。
今回は以上になります、次回はいよいよ最後の第七の習慣です。
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