ISO22000の基礎知識②HACCP

前回はISO22000の認証取得のブームの背景について解説しました。今回は、その中で出てきたHACCPについて解説をしたいと思います。

HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis Critical Control Pointの略で、「危害分析重要管理点」と訳され、食品の安全に関する危害を特定し、評価し、重要管理点によって管理するしくみ、とされています。
もともとはアメリカのNASA(航空宇宙局)で宇宙食を作る際に開発された手法と言われています。それまでは「抜き取り検査」によって製品の品質を確認していましたが、あくまでサンプリングであり全ての製品がOKかどうかは、正直なところわかりませんでした。宇宙食では万に一つでも安全性に問題のある製品が混じっていては困るわけです。そこで、原材料の受け入れから加工・出荷までの各工程で「微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測」し、「危害の防止につながる特に重要な工程を連続的・継続的に監視し記録する」ことで、安全性を担保するという手法が開発されました。これがHACCPの考え方です。

HACCPでは、7原則12手順という形でやるべきことが決まっています。
    手順1  HACCPチームの編成危害要因分析のための準備
    手順2  製品説明書の作成
    手順3  製品用途や対象者の確認
    手順4 フローダイアグラムの作成
    手順5  現場でのフローダイアグラムの確認
原則1 手順6  危害要因の分析
原則2  手順7  重要管理点(CCP)の決定
原則3  手順8  管理基準(CL)の設定
原則4  手順9  モニタリング方法の設定
原則5 手順10 改善措置の決定
原則6 手順11 検証方法の設定
原則7 手順12 文書・記録の保管

内容については、厚生労働省がわかりやすいリーフレットを公開していますので、参考にしてください。
haccp_leafb_24.pdf (mhlw.go.jp)

前回の投稿の中で、すべての食品事業者にHACCPを義務付けるというお話をしましたが、一定規模以上の組織であれば、品質管理部門があり体制も整っていますが、家族経営的に食品を製造している事業者にとっては、ハードルが高すぎるという心配がありました。そこで国は、業界ごとに専門家による検討会を立ち上げ、中小零細の事業者でも実行可能なHACCPを作成し普及に努めています。
食品等事業者団体が作成した業種別手引書 (mhlw.go.jp)

HACCPには、いくつかの弱点があると言われています。具体的には次のような点です。
①経営者の関与、責任が不明確である
②製造工程のみの部分的なシステムである
③組織内の他の部門との内部コミュニケーションが不明確である
④原料調達部門である購買に対する弱さ
⑤サプライチェーンの対応が不明確である
これらの弱点を解決し、マネジメントシステムとして審査できるようにしたのがISO22000です。

次回はISO22000について解説をしたいと思います。


















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