ISO22000の基礎知識⑦6章;計画

安全安心な食品を継続的に提供するための、リスクと機会を明確にして取り組んでください。
リスクや機会を抽出する際に、4つのMの視点で考えるとわかりやすいと思います。
4つのMとは、Man(人)、Machine(設備機器)、Material(原材料)、Method(製造方法)を指します。
例えば、人の面で考えると、現在働いている社員も年々歳をとり、いずれは定年で退職します。また、近年は転職が当たり前のようになっており、優秀な社員が突然辞めてしまう可能性もあります。特定の人に依存していると、昨日までと同じような製品づくりができなくなる恐れがあります。
同様に、設備機器も新しいうちはメンテナンスもそこそこでも十分機能しますが、老朽化するにつれて故障する可能性が高くなります。原材料もこれまでは安価に大量に購入できていたものが、気候変動による収穫量の減少、海外での消費拡大による価格高騰などによって十分調達できなくなる恐れもあります。
このような視点で、自社の工場のリスクを洗い出してみて下さい。ここでも重要なことは、教科書に書いてあるような一般論ではなく、自分たちの会社や工場が抱えているリスクをできるだけ具体的にすることです。
機会というのは、逆にプラス効果が見込まれる状況です。例えば、若くてやる気のある外国人労働者を積極的に採用する、原材料の調達先を新しく開拓する、従来の製法を見直しメンテしやすい設備に更新する、などです。自社だけで難しければ、同業者や競合メーカーと共同で取組むことを考えてもいいかもしれません。「食品安全は非競合分野である」と言われることがありますが、難しい課題に対しては、時にはライバルと手を組むという発想も必要です。

次に、取り上げたリスクと機会に対して、どのように取り組むか計画を立ててください。
取組みの程度は、自社の製品の安全性への影響の大きさや、顧客をはじめとする利害関係者からの要求事項に相応しいものにする必要があります。
ISOではリスクと機会に取り組む考え方として、「リスクを回避すること、ある機会を追求するためにそのリスクを取ること、リスク源を除去すること、起こりやすさ又は結果を変えること、リスクを共有すること、又は情報に基づいた意思決定によってリスクの存在を容認することが含まれ得る」とされています。内容に応じて、使い分けることが重要ということですね。

次に、取り組む内容を具体的な目標として掲げてください。
目標は、食品安全方針に沿った内容であり、できるだけ測定可能なものとしてください。そうでないと、達成できたかどうか判定が難しいですね。例えば、製品回収につながるような重大な食品事故ゼロ、顧客からのお申し出(クレーム)前年比30%削減、社員の力量評価と多能化の推進、設備メンテナンスカレンダーの作成と漏れのない実行…など、工場を運営していく上での具体的な目標を設定してください。
設定した目標は、社員の方に伝達するとともに、定期的に達成状況を確認し、必要に応じて見直してください。
また、社長や工場長が設定した目標は、全ての部門や階層に展開して、より具体的な目標にしてください。

目標は掲げただけでは達成できません。当然のことながら、どのように達成するか計画を立てる必要があります。
計画には、実施する内容、必要な資源、責任者、完了予定時期、計画を達成したかどうかの評価方法まで含めて考えてください。ここでも具体的で納得性のある計画を立てることが重要です。せっかく素晴らしい計画を立てても、肝心の資源(ヒト、モノ、カネ)がなければ絵に描いた餅になりかねません。
計画については、半年、四半期、毎月など定期的に達成状況をチェックしてください。達成できている項目はいいですが、達成できていない項目については、その原因を分析し対策を考えてください。PDCAを短いスパン(間隔)で回すことが重要です。

6章は以上です。




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