QMS経営ベーシック⑫顧客満足度調査_顧客からの評価を把握しましょう

今回は顧客満足度の把握についてお話しします。
ISO9001に取り組む目的は、顧客からの要求事項を満たした製品やサービスを一貫して提供することにより、顧客満足を向上させることにあります。その結果として、会社は持続的に発展してゆける、ということです。

会社の方針として、お客様第一、顧客最優先を掲げている会社が多いと思います。そうでない会社を見つける方が難しいかもしれません。ただし、その方針が建前だけ、ということはないでしょうか。言っているのは顧客第一なのに、やっていることはわが社の利益第一、社長のご意向最優先、では「クオリティの高い会社」とは言えません。
あるいは、それ以前の問題として、ある日突然他社に切り替えられてしまった、取引が打ち切られた、などという経験はないでしょうか。自分たちにとっては「突然」かもしれませんが、実は以前から兆候は出ていたということもあると思います。そのようなことを防ぐためには、絶えず顧客の状況を把握しておく必要があります。

ISO9001では、顧客のニーズや期待が満たされている程度について、顧客がどのように受け止めているかを「監視」することが求められています。どのような方法で情報を入手し、顧客の満足度を監視するかを、予め決めておき実行するとよいとされています。
どの会社でも営業社員の商談結果であったり、幹部の定期的訪問などを通して把握していると思います。それは生の声として貴重ですが、それだけでは「都合の悪い情報」は入ってこない可能性も考えられます。

以前審査で伺ったある会社では、「顧客満足度調査」と題して、毎年定期的にアンケートを主要な取引先に送付して回答してもらっていました。品質、価格、納期、対応などについて5段階評価してもらうとともに、自由記入欄にご意見を書いてもらっていました。返信が来ない顧客に対しては、営業社員が訪問した際に聞き取りするなどして回答率を上げる工夫もされていました。そのような活動を20年前の初回認証当時からずっと継続されているということで、グッドポイントとして指摘させていただきましたが、継続することで顧客満足度に対する傾向も把握できます。特定の顧客の評価が下がってきている場合には、その原因を分析し早めに手を打つ必要があります。そうすることで「突然」取引がなくなる可能性は少なくなると思います。全体的に評価が下がっている場合には、会社として大きな問題があるのかもしれません。

顧客満足度を調査する上で、気をつけなければいけないのは、単に「より安く、より良いものを」というような一般論的な結論に陥らないことです。QMS経営の目指すべき「クオリティの高い組織」の条件として、①オリジナリティの高い製品・サービスを有していること、②価格競争を避け、適正な利益を確保していることを掲げています。自分たちの提供する製品やサービスが、顧客の心に刺さっているか、多少高くても買ってもらえるかを慎重に分析する必要があります。

また、顧客満足度の調査では、自由記入欄にどんな製品やサービスを希望するか書いてもらうといいでしょう。顧客の期待やニーズの把握についても、一緒に検討することができます。その中に、新しいビジネスのネタが含まれているかもしれません。

どの会社でも多かれ少なかれ、アンケート的なことはやっているのではないかと思います。ただ、その仕事が形式的なものに終わっていないでしょうか。会社のパフォーマンスを評価する重要な情報として活用し、PDCAをスパイラルアップさせていくツールとして活用することが重要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次